揚げ物は「ハードルが高い」と感じる人が多い料理のひとつです。
衣がベチャっとしてしまったり、中まで火が通らなかったり、逆に揚げすぎて固くなってしまったり…。
失敗しやすい要素がいくつも重なっているため、苦手意識を持つのは当然です。
ですが、プロの現場で共通して大切にされているのは “温度・衣・油量” の3つだけ。
この基本が整えば、誰でも家でカラッと揚がる揚げ物を作ることができます。
この記事では、揚げ物が失敗しないために押さえておきたい 温度管理のコツ、
衣をサクサクに仕上げる下ごしらえのポイント、
ムラなく揚げるための油量と鍋選びのポイントなどを、
はじめてでも実践しやすい形で分かりやすくまとめました。
「家で揚げるとなんだかうまくいかない…」
「もっとカラッと軽い揚げ物を作りたい!」
そんな方に向けて、今日からすぐに使えるプロのテクニックを紹介します。
ポイントは多くありませんが、ひとつひとつの効果は絶大です。
ぜひ、揚げ物の失敗をゼロにして、家でもお店のようなサクサク食感を楽しんでください。
揚げ物の成功は「温度」が9割|適温を見極めるコツ
揚げ物は、温度が1つズレるだけで仕上がりが大きく変わる料理です。
外はカリッと、中はふっくらジューシーに仕上げるためには、160〜180℃という“適温ゾーン”を保つことが欠かせません。
ここでは、家庭でもできる温度管理のコツを紹介します。
160〜180℃が基本温度
ほとんどの揚げ物は 160〜180℃がベストレンジ。
この温度帯だと、衣が一気に固まり、食材の水分を閉じ込めながら加熱が進みます。
- 160℃前後:野菜の天ぷら、白身魚、コロッケなど
→ ゆっくり熱が通るので、中までふんわり・ほくほくに仕上がる - 170〜180℃:唐揚げ、とんかつ、フライ類
→ 肉の旨みを閉じ込め、衣がカリッと香ばしくなる
このように、食材によって適温は微妙に違うため、揚げる前に“どんな食材か”を意識すると失敗が減ります。
菜箸や衣でできる温度チェック方法
温度計がなくても、家庭では次の方法で簡単に温度を判断できます。
- 菜箸を油に入れて、細かい泡がスッと上がる → 約170℃
- 衣のかけらを落としたとき、底に沈んで2秒ほどで浮く → 160〜170℃
- 落とした衣がすぐに散って浮く → 180℃以上(高すぎ)
この“簡易チェック”はプロの現場でもよく使われている方法です。
特に、温度が低すぎると衣が油を吸ってしまい、重たい仕上がりになります。
温度が低い/高いとどう失敗する?
温度のブレは失敗のもと。
それぞれの温度帯でどんなことが起きるのか、分かりやすくまとめると…
●温度が低い(150℃以下)
- 衣が油を吸いベタつく
- 食材がなかなか浮いてこない
- 全体が重たい食感に
●温度が高い(190℃以上)
- 外だけ焦げて中が生焼け
- 衣がはがれやすくなる
- 香りが苦くなることも
適温を守れば、揚げ物の大半の失敗は防げます。
不安なときは、最初に少量だけ揚げて「試し揚げ」するのもおすすめです。
衣の付け方で仕上がりが変わる|サクサクにする基本手順
揚げ物の軽さやサクサク感は、実は 衣の“付き方”でほぼ決まります。
同じ材料を使っても、衣を丁寧につけるだけで仕上がりが驚くほど変わります。
ここでは、家庭で失敗しがちなポイントを避けつつ、プロも実践する衣づけの流れを分かりやすくまとめました。
下準備は「水分をしっかり取る」ことから
食材の表面に水分が残っていると、衣が均一につかず、揚げたときに はがれやすくなります。
キッチンペーパーで軽く押さえて、表面を乾いた状態にしておくのがコツです。
- 肉 → 表面に出てくる余分な水分をしっかり拭く
- 野菜 → 洗った後の水気をよく切る
- エビ → キッチンペーパーで包んで水気を取る
食材が乾いた状態になるだけで、衣のノリが一段と良くなります。
粉 → 卵 → パン粉(または衣)の順番を守る
衣づけの基本は 「粉 → 卵 → パン粉」 の三段階。
この順番を守ると、揚げたときの衣が均一にまとまり、サクッと軽い食感に仕上がります。
- 粉(薄力粉または片栗粉)
→ 薄くまぶす。厚すぎると衣が重くなるので注意。 - 卵液
→ 粉をまとった食材にサッと絡める。 - パン粉・衣
→ ぎゅっと押しつけず、ふわっとまとうイメージで。
特にパン粉は、強く押しつけると油を吸って重たくなるため、
“空気を含ませるようにまぶす”のがポイントです。
手を使い分けると衣が汚れにくい
「右手は粉、左手は卵」というように、左右の手を分けて使うと衣がベタベタになりません。
- 右手:粉をつける
- 左手:卵をつけてパン粉へ
- パン粉は右手でふんわりまぶす
この「乾いた手・濡れた手」を意識するだけで、衣がきれいにつき、調理もスムーズになります。
パン粉の種類でサクサク度が変わる
実はパン粉にも種類があり、用途に合わせて選ぶと仕上がりが格段に良くなります。
- 生パン粉:ふんわり軽く、揚げると大きく広がってカリカリ食感に
- 乾燥パン粉:カチッとした衣に。とんかつ・コロッケ向き
- 細目パン粉:衣が薄づきになり、上品な口当たりにしたい時に最適
同じ食材でも、パン粉を変えるだけで食感の印象が大きく変わります。
余分なパン粉は落としておく
最後に、軽くパンパンとはたいて 余分なパン粉を落としてから揚げる のがコツ。
余分がついたまま揚げると衣が重くなり、油も汚れやすくなります。
衣は“薄く・均一に”が鉄則です。
油の量と鍋選びで仕上がりが変わる|家庭向けベストな揚げ方
揚げ物は「どんな鍋で、どれくらいの油を使うか」で仕上がりが大きく変わります。
実は、油の量をケチったり、小さすぎる鍋を使うと 温度が安定せず失敗しやすくなる のです。
ここでは、家庭でもムラなくカラッと揚げるために知っておきたい
“油量・鍋選び・揚げ方のポイント”を紹介します。
油は“多め”が成功の近道
家庭ではつい油を少なめにしたくなりますが、油が少ないと温度が安定しません。
- 食材を入れた瞬間に温度が大きく下がる
- 温度が戻るまでに時間がかかる
- 衣が油を吸い、重たい仕上がりに
こうした失敗につながりやすくなります。
おすすめは、鍋底から5〜6cmの深さまで油を入れること。
これだけで、油の温度が一定に保たれやすくなり、外はカリッと中はジューシーに揚がります。
鍋は「底が深くて広め」がベスト
揚げ物に最適なのは、
底が深めで、熱が均一に伝わる鍋 です。
おすすめの鍋
- 揚げ物専用の鉄鍋
- 深型フライパン
- ステンレス製の深鍋
逆に失敗しやすい鍋
- 浅いフライパン(油がはねやすい/温度が不安定)
- 小さすぎる鍋(食材が密集して温度が下がる)
特に、鉄鍋は熱保持力が高く温度がブレにくいので、揚げ物が安定します。
一度に入れる量は“鍋の半分以下”
揚げ物がベタつく原因のひとつが 食材の入れすぎ。
鍋の中で食材が多すぎると…
- 油の温度が急激に下がる
- 蒸気がこもって衣がしっとりする
- 揚げムラができる
このような失敗につながります。
目安は、鍋の直径の半分以下の量。
食材同士が重ならず、油の中で自由に泳げるスペースを作ってあげることが大切です。
食材はゆっくり入れて、ゆっくり動かす
勢いよく入れると油はねの原因になります。
さらに、食材をすぐに動かしすぎると、衣がはがれやすくなります。
- そっと油に入れる
- 最初の30秒は触りすぎない
- 衣が固まってから軽く返す
この3つを意識するだけで、衣がきれいにつき、揚げ色も均一になります。
こまめに温度を戻しながら揚げる
食材を入れたあと、油の温度は必ず下がります。
そこで…
- 火力を少しだけ上げる
- 泡の勢いを見ながら調整する
- 温度が戻ったら火を弱める
このように、火力を微調整しながら揚げるのがプロのコツ です。
揚げすぎ・生焼けを防ぐ揚げ時間の目安
揚げ物でありがちな失敗が「中が生焼け」または「揚げすぎて固くなる」こと。
これは、食材ごとの最適な揚げ時間を知らないことが原因 で起こりやすいトラブルです。
揚げ時間にはしっかりした目安があり、さらに“泡”や“音”を見れば、揚げ上がりを判断できるようになります。
食材別の基本の揚げ時間(目安)
揚げ物の時間は、食材のサイズ・厚み・衣によって多少変わりますが、
家庭でよく作る揚げ物の一般的な目安はこちらです👇
● 鶏の唐揚げ(大きめひと口サイズ)
→ 5〜7分(170〜180℃)
中まで火が通りにくいので長めに。
● とんかつ(1cm厚)
→ 6〜8分(170℃)
途中で1〜2回ひっくり返すと均一に揚がる。
● 白身魚フライ(タラ・ホキなど)
→ 3〜4分(170℃)
火通りが早いので短め。
● コロッケ
→ 3〜4分(180℃)
中身はすでに加熱済み。衣がカリッとしたらOK。
● 野菜の天ぷら(かぼちゃ・さつまいも)
→ 2〜3分(160〜170℃)
薄切りなら早め、厚い場合は少し長めに。
この「基本時間」を覚えておくと、揚げすぎや生焼けを防ぎやすくなります。
泡の大きさと量で“揚げ上がりサイン”を読む
揚げ物は、温度だけでなく 泡の出方 で状態を判断できます。
これはプロの現場で最も使われるサインです。
● 揚げ始め:大きな泡が勢いよく出る
→ 食材の水分が急に蒸発している状態。
● 中盤:泡が少し細かくなる
→ 内側まで熱が入ってきたサイン。
● 仕上がり直前:泡が少なくなり、シュワ…と小さくなる
→ 水分がほぼ抜け、揚げ上がりの合図。
泡の変化を見るだけで、かなり正確に揚げ具合を判断できます。
“揚げ音”でも状態がわかる
揚げ物の近くにいると聞こえる ジュワー…という音。
実はこれも、仕上がりを判断する大事なポイントです。
- 揚げ始めは 勢いのある音
- 中盤は 少し落ち着いた音
- 仕上がり直前は シュワ…と軽い音に変化
音が静かになってきたら、中の水分が減ってきた証拠です。
揚げたあとは“1〜2分置く”と中まで火が通る
揚げ物は、揚げ上がってから 余熱で火が通る料理 です。
- とんかつ・から揚げ → 1〜2分休ませる
- 衣が落ち着き、中まで均一に火が通る
- ジューシーさもアップ
切るのは休ませてからが鉄則です。
上手に油切りする方法|ベタつかない仕上げ方
揚げ物は、揚げたあとの“油切り”が仕上がりの決め手になります。
せっかく衣がカリッと揚がっても、油切りが不十分だと ベタつき・重たさ・油っぽさ が出てしまいます。
家庭でもできる、揚げ物をサクッと仕上げる油切りのコツを紹介します。
キッチンペーパーより“網”が正解
多くの人がキッチンペーパーで油切りをしますが、
実は 揚げ物は網の上で休ませる方が圧倒的にサクサクに仕上がります。
理由は…
- キッチンペーパー=油と蒸気がこもる
- 網=下に油が落ち、蒸気も抜ける
蒸気がこもると衣がしんなりしてしまうため、
揚げたての「カリッ」を維持するには網が最適です。
角度をつけて置くと、油がストンと落ちる
網に置くとき、少し角度をつけるとさらに油が落ちやすくなります。
- 斜めに置く
- 置く場所をずらして油が流れやすくする
- 下にトレイを入れて油をキャッチする
プロの厨房でも、揚げ物は「立てる・斜めにする」が基本です。
揚げたては重ねない
揚げ物を重ねてしまうと、
蒸気と油が触れ合い衣がベチャッとします。
- 揚げたては“絶対に重ねない”
- 隙間を空けて並べる
- 温かいうちは風通しよく配置する
これだけで衣のサクサク度が格段に変わります。
温め直しは“トースター”が最強
揚げ物を時間が経ってから食べる場合、
温め直しは 電子レンジではなくトースター が正解です。
- 電子レンジ → 蒸気でしっとり
- トースター → 表面が再びカリッと復活
温め直し用に、アルミホイルを軽く丸めて網状にして使うと
下からも熱が入り、よりサクッと仕上がります。
まとめ|3つの基本を押さえれば揚げ物は必ず上手くなる!
揚げ物は「温度」「衣」「油量」という3つの基本が整えば、
家庭でもお店のようにカラッと揚がります。
難しそうに見える料理ですが、実は大切なポイントはそれほど多くありません。
最後に、今回の内容をもう一度整理しておきましょう。
● 温度は160〜180℃をキープ
食材ごとの適温を意識することで、揚がり方がぐっと安定します。
温度が低すぎると重たく、高すぎると焦げやすくなるため、
菜箸や衣を使った簡易チェックも活用しましょう。
● 衣は“薄く均一に”つける
粉 → 卵 → パン粉の流れを丁寧に行うだけで、
仕上がりのサクサク感が大きく変わります。
食材の水分をしっかり拭き取るのも失敗を防ぐ重要ポイントです。
● 油量と鍋選びが成功の近道
深めの鍋にたっぷりの油を使うことで温度が安定し、
揚げムラがなくなります。
一度に入れすぎず、ゆっくり火力調整することも大切です。
揚げ物は一度コツをつかめば、誰でも驚くほど上手に作れるようになります。
今日お伝えしたポイントを意識して、ぜひご家庭でも
“カラッと軽い揚げ物” を楽しんでくださいね。


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